バーマンの毛色(カラー)について 2


猫は毛色の遺伝の法則がほぼ解明されていますので、それに則ってご説明したいと思います。


まず、毛色を表すのには 「表現型」 と 「遺伝子型」 の2通りがあることを知って下さい。

表現型とは、「シールポイント」 や 「ライラックポイント」 という呼び方です。

遺伝子型とは、 aa / B - / cscs / D - / o(y) / sbsb /  と言うように遺伝子記号配列で表し、

外見の色と、外見からは分からない隠されたもうひとつの毛色遺伝子を表す方法です。


表現型は馴染み深いのですが、遺伝子型になると・・・なかなか難しいですよね。

でも、遺伝子型の基礎知識を持つと、それまでよりうんと猫のことが深く分かって、より親しみが増すと思います。

基礎的なことだけでも知っておくと、「あなたは aa なのよね」 などと猫に話しかけてしまいますし、

外で道を歩いている猫を見かけたときでも、「あの猫の両親は何色と何色だろう」 とか、

「あの猫はメスだろう」 などと分かります。


また、ブリーダーなら、この両親からはこの毛色の子猫が生まれる、または生まれない、ということや、

逆に何色の子猫をブリーディングするためには、

何色の遺伝子型の父猫と何色の遺伝子型の母猫が必要なのかを知ることができるので、

ブリーディングプランを立てるのにも役立ちます。


猫の毛色は、A . B . C . D . I . O . S . T . W . Wb  の、それぞれの遺伝子型から成り立ちます。

このうち  I  はスモーク(シルバー)になるかならないかを示しますが、

この毛色は今日の日本のバーマンでは一般的ではないので省略します。

bl bl のシナモンと、シナモンのダイリュート(希釈された色)のフォーンも一般的ではありませんので省略します。

T は、リンクスの場合の縞模様の形 (タビーパターン) を示します。

バーマンは、ティックド Ta - も、マッカレル T - も、クラシック tbtb も区別せずに 「リンクス」 とだけ言います。

正確にはリンクスにもこれらのタビーパターンがあるのですが、

バーマンはタビーパターンにこだわらないので T の項目も省略します。

W はホワイト(全身真っ白な猫)ですし、

Wb シェーデッド(チンチラ)も、バーマンには無い毛色ですから省略します。



では残りの、A . B . C . D . O . S についてご説明することに致しますが、

このうち C と S については、ポインテッドの cscs と、バーマン遺伝子の sbsb は全てのバーマンは共通です。

ですから違いがある、A . B . D . O の4つの遺伝子型について知って頂けば良いと思います。



まず、遺伝子型を表す決まりをご説明します。

遺伝子型は両親猫からひとつづつ受け継ぎ、ふたつで一組になっています。

優性遺伝子を大文字、劣性遺伝子を小文字で表します。

優性遺伝子を前に、劣性遺伝子を後ろに表します。

優性遺伝子または劣性遺伝子とは、「優れた遺伝子」 または 「劣った遺伝子」 という意味ではありません。

優性遺伝子は毛色として身体の表面に現れる遺伝子、

劣性遺伝子は毛色には現れていないが隠し持つ遺伝子という解釈で良いかと思います。

AA を 「ラージ A のホモ」 、Aa を 「A のヘテロ」 、aa を 「スモール a のホモ」 と言います。

例えば、aa / B - / cscs / Dd / o(y) / sbsb / の読み方は、

スモール a のホモ / ラージ B ハイフン / cs のホモ / D のヘテロ / スモール o(y) / sb のホモ / です。


BB またはBb はブラックを示しますが、バーマンはポインテッドなので、

本来はブラックの毛色が、濃い茶色のシールに見えています。

ここはバーマンについての解説ですので、BB または Bb をブラックではなくシールと表記することに致します。


それぞれの遺伝子の名前と、どのように作用するのかを表にまとめました。

記号 遺伝子の名前 どのように作用するのか
A アグーチ リンクスになるか、ならないか
B シール(ブラック) シールまたはチョコレート
C カラー バーマンはみなポインテッド cscs
D ダイリュート 色を希釈するか、しないか
I インヒビット(スモーク・シルバー) 省略
O ユーメラニン、フェオメラニン 伴性遺伝子
S 白斑遺伝子(バーマン遺伝子) グローブ、ブーツ、レースが現れる。バーマンはみな sbsb
T タビー(リンクスの縞の形) 省略
W ホワイト 省略
Wb ワイドバンド(シェーデッド・チンチラ) 省略


バーマンの色と模様を作る A . B . D. O の遺伝子型と表現型を一覧にします。

優性遺伝子 劣性遺伝子
遺伝子型 表現型 遺伝子型 表現型
AA
Aa
リンクス
リンクス(ソリッド持ち)
aa ソリッド(リンクスではない)
BB
Bb
シール
シール(チョコレート持ち)
bb チョコレート
DD
Dd
シール
シール(ブルー持ち)
dd ブルー、ブルーリンクス
DD
Dd
チョコレート
チョコレート(ライラック持ち)
dd ライラック、ライラックリンクス
DD
Dd
レッド
レッド(クリーム持ち)
dd クリーム、クリームリンクス
DD
Dd
トーティ
トーティ(ブルートーティ持ち)
dd ブルートーティ、ブルートーティリンクス
DD
Dd
チョコレートトーティ
チョコレートトーティ(ライラックトーティ持ち)
dd ライラックトーティ、ライラックトーティリンクス

以下のメラニン遺伝子は、優性と劣性の関係ではありません。

o シール、シールリンクス
ブルー、ブルーリンクス
チョコレート、チョコレートリンクス
ライラック、ライラックリンクス
O レッド、レッドリンクス
クリーム、クリームリンクス
Oo トーティ、トーティリンクス
ブルートーティ、ブルートーティリンクス
チョコレートトーティ、チョコレートトーティリンクス
ライラックトーティ、ライラックトーティリンクス



耳にされた方もあると思いますが、ブリーダーたちは、「ブルーキャリー」、「ダイリュートキャリー」、

「ブルー持ちのシール」、「チョコレートキャリーのシール」、「ライラック持ちのシール」という言い方をします。

その意味は、

「ブルーの遺伝子を隠し持ったシールポイント」、「チョコレートの遺伝子を隠し持ったシールポイント」、

「ライラックの遺伝子を隠し持ったシールポイント」という意味です。



では、「ブルー遺伝子持ちのシール」を、解説をしながら遺伝子型で表してみましょう。


Aの項目は、シールポイントですから、リンクスではありませんから aa です。

リンクスは AA または Aa です。リンクスのほうが優性遺伝子です。


Bの項目は、シールなので BB または Bb です。チョコレートは bb です。

「チョコレートキャリーのシール」 とは Bb の型のことを言います。

その意味は、優性遺伝子のB が身体の表面に現れているので外見はシールポイントですが、

隠れたもうひとつの遺伝子に b のチョコレートを持っているということです。


「チョコレートは、シールが薄くなった色」 と説明されることが多いのですが、

遺伝子型を説明する上ではダイリュート(色を希釈する)との区別が難しくなってしまうので、

区別するために、「チョコレートは、シールが変化した色」 と説明させて頂きます。


Cの項目は、全てのバーマンはポインテッド cscs です。


D の項目は、この例題の 「ブルー遺伝子持ちのシール」 はここです。

Dのダイリュートは色を希釈するかしないかを示します。


一覧にすると、

シールが希釈されたのがブルー

チョコレートが希釈されたのがライラック

レッドが希釈されたのがクリーム

トーティが希釈されたのがブルートーティ(ブルークリーム)です。


DD または Dd は希釈されていない色です。dd で希釈されます。希釈されるほうが劣性遺伝です。

この例題の 「ブルー遺伝子持ちのシール」 とは Dd の型です。

「ブルー持ち」、「ブルーキャリー」 のことを

遺伝子の名前から 「ダイリュート持ち」、「ダイリュートキャリー」 とも言います。


さらにもうひとつの 「ライラック持ちのシール」 とは、

チョコレート遺伝子とダイリュート遺伝子を併せ持ったシールポイントの猫という意味です。

遺伝子型で表すと、aa / Bb / cscs / Dd / o(y) /sbsb / です。




日本で一般的な、シール、ブルー、チョコレート、ライラックの関係を図に表します。



シール   B - / D -

→  変化する → チョコレート   b b / D -





希釈される







希釈される



ブルー   B - / d d

ライラック   b b / d d







I は省略します。


O の項目ですが、これは猫の毛色を作り出す二つの色素、

ユーメラニンeumelanin とフェオメラニンphaeomelanin を表します。

ユーメラニンを o 、フェオメラニンを O と表します。

猫にはさまざまな毛色がありますが、基になっているのはこのふたつのメラニン遺伝子です。

簡単に言うとユーメラニンは黒系、フェオメラニンは赤系です。

この色素が他の遺伝子たちに作用されて、さまざまな猫の毛色を作り出しているのです。


ユーメラニンとフェオメラニンの毛色を一覧にすると、

ユーメラニンは、シール、ブルー、チョコレート、ライラック、とそれぞれのリンクスです。

フェオメラニンは、レッド、クリーム、レッドリンクス、クリームリンクスです。

ユーメラニンとフェオメラニンの両方を持つのは、

トーティ、ブルートーティ、チョコレートトーティ、ライラックトーティと、それぞれのリンクスです。


メラニンは他の遺伝子たちとはちょっと性質が異なります。

それは、毛色の遺伝子は優性遺伝子を大文字、劣性遺伝子を小文字で表すことに決められていますが、

この o と O についてだけは優性劣性の関係ではないということと、

フェオメラニン遺伝子は、aa のリンクスにならない作用を受けません。

そして B のシール(ブラック)遺伝子はユーメラニンなので、

フェオメラニンの猫を遺伝子型で表す場合は A と B の項目は書かないのです。


もうひとつ特徴的なのは、メラニン遺伝子は猫の性別と関係があるということです。

メラニン遺伝子は性染色体の x と結び付いています。

ご存知の方も多いと思いますが三毛猫はメスにしかいませんよね。

同じ理由でトーティやブルークリームもメスしかいません。その理由がここにあります。

性染色体は、オスは xy 、メスは xx です。

オスには x はひとつしかないので、o か O の、どちらかしか結び付くことができません。

遺伝子型で言うと o(y) か O(y) のどちらかです。

(y) はメラニン遺伝子が結び付けないオスのふたつめの性染色体の y を示しています。

メスは x がふたつあるので oo . Oo . OO の3つの型があります。 oO と Oo は同じと考えます。

つまり、オスはユーメラニンの黒系 o(y) かフェオメラニンの赤系 O(y) しかいないのですが、

メスにはユーメラニンの黒系 oo と、フェオメラニンの赤系 OO と、両方を持ったトーティ Oo が存在するのです。

トーティに白斑が加わった色が三毛です。


ときどき 「オスの三毛猫」 が話題になりますよね。

それは性染色体が xxy になっているのだろうと考えられています。

このように生物の遺伝には例外やイレギュラーが存在することも事実です。


(注釈) TICA と CFA ではフェオメラニンの猫について相違があります。

TICA はフェオメラニンは aa のリンクスにならない作用を受けないので、

レッドとクリームのソリッドは存在しないとしています。

CFA はレッドとクリームのソリッドを存在するとしています。

ここでは TICA と CFA の双方を尊重する意味で、レッドとクリームのソリッドもあるとして解説しています。



S の項目(バーマン遺伝子)です。

他の猫種のブリーダーさんたちは、

「なぜバーマンはみな揃って白い手袋を履いているのか?」 と不思議に思っています。

なぜなら、白い手袋を履いた猫はバーマンに限ったことではなく、

ノルウェジアンFCにもメインクーンにもラグドールにもスコティッシュFにもエキゾチックにもレックスにも・・・、

いくらでもいますよね。

しかし他の猫種では、手袋を履いた猫もいれば履いていない猫もいるし、もっとたくさん白がある猫もいる、

といった様子です。みんなそろって手足の先だけが白い猫というのはバーマンだけなのです。

それは、バーマンだけが持つ特別な白斑遺伝子(バーマン遺伝子)だからなのです。

バーマンの白斑遺伝子(バーマン遺伝子)は sbsb と考えられます。


バーマン以外の猫の白斑遺伝子は下記の通りです。

SS たくさん白い部分がある

Ss 少し白い部分がある

ss 白い部分が無い


Tは省略します。


以上の各遺伝子の名前と作用を覚えて頂いて、ここからが応用編です。

ブリーダーであれば知っておきたい、色の遺伝の組み合わせを調べる方法をご説明します。


では、オスのブルーリンクスポイントのバーマンを遺伝子型で表してみましょう。

A の項目は、リンクスですから AA または Aa です。このように、表現型でブルーリンクスポイントと言ったり、

また目の前にいる猫を外見で見ただけでは、隠されたふたつめの遺伝子は判りませんよね。

そういう場合は、リンクスということは外見から判るので A - というように、

外見からは判らないふたつめの遺伝子を - で表します。


Bの項目は、ブルーという色は、元はシールが dd によって希釈された色なので、

元はシールのBB またはBb ですから、B - と書いておきます。

ブリーディング実績から、この猫はチョコレート遺伝子持ちであることが判っているのなら Bb と書きます。

チョコレート持ちでないことが判っていれば BB です。


Cの項目は、全てのバーマンは cscs です。


Dの項目は、ブルーですから dd です。


Oの項目は、ブルーはユーメラニンで、オスですから o(y) です。


Sの項目は、全てのバーマンは sbsb です。


これで、オスのブルーリンクスポイントのバーマンの遺伝子型が出そろいました。

ならべると、

A - / B - / cscs / dd / o(y) / sbsb / です。



では、メスのチョコレートポイントのバーマンもやってみましょう。

リンクスではないので aa です。

チョコレートなので bb です。

そして cscs

希釈されていないので D -

メスのユーメラニンなので oo

バーマンだから sbsb

ならべると、

aa / bb / cscs / D - / oo / sbsb / です。



では、この2頭を交配すると何色の子猫が生まれるでしょう?

チェッカーボードを使って A から順に、それぞれの遺伝子型の組み合わせを検証していきます。

と言っても、バーマンはみなポインテッド cscs で、グローブ、レースのバーマン遺伝子 sbsb は同じなので、

A . B . D . O について分かれば良いのです。



チェッカーボードとは、上横に父猫の持つ遺伝子型をひとつづつ分けて書きます。

縦に母猫の遺伝子型をひとつづつ分けて書きます。

父1 と 母1 が交わるところに 子1 、父2 と 母1 が交わることろに 子2、

父1 と母2 が交わることろに 子3、 父2 と母2 が交わるところに 子4 というように、

子猫たちが両親猫から受け継ぐ遺伝子型が25% づつの確率で表われます。


父1


父2


母1


子1

子2

母2

子3


子4




では、ブルーリンクスポイントの父猫とチョコレートポイントの母猫から、

何色の子猫が生まれるのか、または生まれないのかを調べてみましょう。


A の項目は、父猫 A - と母猫 aa ですから

A

-

a

Aa

- a

a

Aa

- a


子猫たちは Aa リンクスの型が50% あります。残りの50% は - a ですね。

これは父猫のふたつめの遺伝子型が外見からはわからないので今はこの書き方ですが、

ブリーディング実績からこの交配で生まれる子猫は全てリンクスであったとすると、

父猫のふたつめの遺伝子は A であると実証されるわけです。

また、リンクスとリンクスでない子の両方が生まれたとすると、父猫のふたつめは a ということが判ります。

そこをもう少し詳しく説明します。


もし父猫が AA なら、子猫は100% Aa の型のリンクスです。

A

A

a

Aa

Aa

a

Aa

Aa


もし父猫が Aa なら、子猫は Aa のリンクスが50% と、 aa のリンクスでない子が50% 生まれます。

A

a

a

Aa

aa

a

Aa

aa


このようにブリーディング実績から、隠れたふたつめの遺伝子型を知ることができるのです。


B の項目からは一気に駆け足でやってみましょう。

父猫は B - 、母猫は bb なので、

B

-

b

Bb

- b

b

Bb

- b


子猫たちは Bb のチョコレート持ちのシールが50% と、- b が50% の確率であることが判ります。

ブリーディング実績から、シールの子猫しか生まれないとすると、父猫は BB で、

子猫たちはみな Bb の、「チョコレート持ちのシール」でしょう。

シールとチョコレートの両方の子猫が生まれれば、父猫は Bb であることが判ります。

子猫たちは Bb のシールが50%と、 bb のチョコレートが50%です。


C は、バーマンは全てポインテッド cscs なので、

cs

cs

cs

cscs

cscs

cs

cscs

cscs


子猫たちは100% ポインテッドの cscs です。


D は、父猫は dd 、母猫は D - なので、

d

d

D

Dd

Dd

-

- d

- d


子猫たちは Dd が50% と、 - d が50% です。

母猫が DD なら子猫たちは100% Dd です。

母猫が Dd とすると、子猫は Dd が50% と dd が50% です。


O は、父のブルーも母のチョコレートもユーメラニンです。

父は o(y) 、母は oo です。

o

y

o

oo

oy

o

oo

oy


このように両親ともにユーメラニンの場合、子猫は100% ユーメラニンです。

同じように両親ともにフェオメラニンでは、子猫は100% フェオメラニンです。


では、ユーメラニンとフェオメラニンの交配ではどうでしょう?

父猫がレッド O(y) 、母猫がブルー oo としてみましょう。

O

y

o

Oo

oy

o

Oo

oy


このように、オスの子猫はみなユーメラニン o(y) 、メスの子猫はみな Oo トーティであることが判ります。


もうひとつ、シールの父猫 o(y) と、トーティ Oo の母猫の交配では、

o

y

O

Oo

Oy

o

oo

oy


オスの子猫は O(y) と o(y) 、メスの子猫は Oo と oo とが生まれることが判ります。

レッドのメス OO の子猫は生まれないのです。


Sの項目は、バーマンはみなバーマン遺伝子 sbsb なので、子猫たちもみな sbsb です。

sb

sb

sb

sbsb

sbsb

sb

sbsb

sbsb





まとめ


◎ 劣性遺伝子どうしの交配からは劣性遺伝子の子しか生まれない。優性遺伝子の子は生まれない。


アグーチ(リンクスとソリッド)を例に挙げると、ソリッドの両親からリンクスの子猫は生まれない。

父 aa ソリッド と母 aa ソリッド から生まれるのは aa ソリッドの子猫だけである。A - のリンクスは生まれない。


チョコレートを例に挙げると、チョコレートの両親からシールの子猫は生まれない。

bb と bb から生まれる子猫は bb だけである。 B - のシールは生まれない。


ダイリュート(ブルー、ライラック)を例に挙げると、ブルーの両親からシールの子猫は生まれない。

dd と dd から生まれる子猫は dd だけである。 D - のシールは生まれない。

同じく、ライラックの両親からチョコレートまたはシールの子は生まれない。



◎ 優性遺伝子どうしの交配では、ふたつめの遺伝子型により、

優性遺伝子の子しか生まれない場合と、優性遺伝子と劣性遺伝子の両方の子が生まれる場合とある。



アグーチ(リンクス)を例に挙げると、

Aa リンクスと Aa リンクスから生まれるのは、AA リンクスと、 Aa リンクスと、 aa ソリッドである。

AA リンクスと Aa リンクスから生まれるのは、AA リンクスと、 Aa リンクスである。ソリッドは生まれない。

AA リンクスと AA リンクスから生まれるのは全て AA リンクスである。ソリッドは生まれない。


シールを例に挙げると、

Bb シールと Bb シールから生まれるのは、BB シールと、Bb シールと、 bb チョコレートである。

BB シールとBb シールから生まれるのは、BB シールと、 Bb シールである。チョコレートは生まれない。

BB シールとBB シールから生まれるのは、BB シールだけである。チョコレートは生まれない。


ダイリュートを例に挙げると、

Dd シール(またはチョコレート)と、Dd シール(またはチョコレート)から生まれるのは、

DD シール(またはチョコレート)と、Dd シール(またはチョコレート)と、dd ブルー(またはライラック)である。


DD シール(またはチョコレート)と、Dd シール(またはチョコレート)から生まれるのは、

DD シール(またはチョコレート)と、Dd シール(またはチョコレート)である。


DD シール(またはチョコレート)と、DD シール(またはチョコレート)から生まれるのは、

DD シール(またはチョコレート)である。


◎ 優性遺伝子と劣性遺伝子の交配では、優性遺伝子の型により、

優性遺伝子と劣性遺伝子の両方の子が生まれる場合と、

優性遺伝子の色の子しか生まれない場合とある。



アグーチ(リンクス)を例に挙げると、

AA リンクスと、 aa ソリッドから生まれるのは、全て Aa リンクスである。

Aa リンクスと、 aa ソリッドから生まれるのは、 Aa リンクスと、 aa ソリッドである。


シールを例に挙げると、

BB シールと、 bb チョコレートから生まれるのは、全て Bb シールである。

Bb シールと、 bb チョコレートから生まれるのは、 Bb シールと、 bb チョコレートである。


ダイリュートを例に挙げると、

DD シール(またはチョコレート)と、 dd ブルー(またはライラック)から生まれるのは、

全て Dd シール(またはチョコレート)である。


Dd シール(またはチョコレート)と、 dd ブルー(またはライラック)から生まれるのは、

Dd シール(またはチョコレート)と、 dd ブルー(またはライラック)である。


◎ ユーメラニンとフェオメラニンの交配は、

ユーメラニンどうしの交配ではユーメラニンの子しか生まれない。

フェオメラニンどうしの交配ではフェオメラニンの子しか生まれない。


ユーメラニンとフェオメラニンの交配では、

メスの子猫はみなトーティ、オスの子猫はみな母猫のメラニンの色である。


父はユーメラニン、母はトーティの交配では、

メスの子猫はトーティとユーメラニン、オスの子猫はユーメラニンとフェオメラニン。


父はフェオメラニン、母はトーティの交配では、

メスの子猫はトーティとフェオメラニン、オスの子猫はユーメラニンとフェオメラニン。




いかがでしたでしょう? ちゃんとお伝えすることができましたでしょうか。

遺伝理論は諸説ありますし、私の知識が拙いこともありますので、

これは完全な情報ではないであろうと存じます。

でも、少しでも知識の一端になることができたり、

ブリーディングプランに役立つことができたのであれば幸いです。



最後に、バーマンの毛色と遺伝子記号を一覧に記します。


シールポイント
オス aa / B - / cscs / D - / o(y) / sbsb /
メス aa / B - / cscs / D - / oo / sbsb /
ブルーポイント
オス aa / B - / cscs / dd / o(y) / sbsb /
メス aa / B - / cscs / dd / oo / sbsb /
チョコレートポイント
オス aa / bb / cscs / D - / o(y) / sbsb /
メス aa / bb / cscs / D - / oo / sbsb /
ライラックポイント
オス aa / bb / cscs / dd / o(y) / sbsb /
メス aa / bb / cscs / dd / oo / sbsb /
シールリンクスポイント
オス A - / B - / cscs / D - / o(y) / sbsb/
メス A - / B - / cscs / D - / oo / sbsb/
ブルーリンクスポイント
オス A - / B - / cscs / dd / o(y) / sbsb/
メス A - / B - / cscs / dd / oo / sbsb/
チョコレートリンクスポイント
オス A - / bb / cscs / D - / o(y) / sbsb/
メス A - / bb / cscs / D - / oo / sbsb/
ライラックリンクスポイント
オス A - / bb / cscs / dd / o(y) / sbsb/
メス A - / bb / cscs / dd / oo / sbsb/
レッドポイント
オス cscs / D - / O(y) / sbsb/
メス cscs / D - / OO / sbsb/
(フェオメラニンなので A とB は書きません)
クリームポイント
オス cscs / dd / O(y) / sbsb/
メス cscs / dd / OO / sbsb/
(フェオメラニンなので A とB は書きません)
レッドリンクスポイント
オス cscs / D - / O(y) / sbsb/
メス cscs / D - / OO / sbsb/
(フェオメラニンなので A とB は書きません)
クリームリンクスポイント
オス cscs / dd / O(y) / sbsb/
メス cscs / dd / OO / sbsb/
(フェオメラニンなので A とB は書きません)
トーティポイント
メス aa / B - / cscs / D - / Oo / sbsb/
(以下はユーメラニンを持っているのでA とB を書きます)
ブルートーティポイント
メス aa / B - / cscs / dd / Oo / sbsb/
チョコレートトーティポイント
メス aa / bb / cscs / D - / Oo / sbsb/
ライラックトーティポイント
メス aa / bb / cscs / dd / Oo / sbsb/
トーティリンクスポイント
メス A - / B - / cscs / D - / Oo / sbsb/
ブルートーティリンクスポイント
メス A - / B - / cscs / dd / Oo / sbsb/
チョコレートトーティリンクスポイント
メス A - / bb / cscs / D - / Oo / sbsb/
ライラックトーティリンクスポイント
メス A - / bb / cscs / dd / Oo / sbsb/


2012年、秋 Shwetsun Birmans